各県人会は、会員数の減少と高齢化問題の対応に苦慮している。日本からの留学や就業による移住者は減る一方で、次を託している新1世の子供や孫たちは若い英語世代として期待が寄せられるが、世代交代は思うように進んでいないのが現状だ。
会員数の減少は、県人会の存亡に関わるだけに、昨年就任した水谷会長は「加盟する38県人会があってこその県人会協議会」と力説し、県人会の支援に力を注いでいる。
県人会協議会は、二世週祭や日本の夏祭りなど日本人が多く集まる日系のイベントに積極参加してブースを出している。そこで、一般来場者に向けては各県の観光や特産物などの紹介に努め、各都道府県出身者には会の存在と活動の周知を図って入会を勧誘している。イベント参加者にアンケートをとり、出身の都道府県や当地に各県人会があり活動していることを知っているかを尋ねた。7割近くの回答者が、県人会の存在すら知らないという結果を得た。水谷会長ら役員は、この高い数字に県人会の再生への可能性を見出し、希望を抱いたという。
県人会協議会が主催する日本文化継承者への奨学金の資金集めの演芸会や、協議会の活動資金集めのゴルフ大会、親睦ボウリング大会など大きな行事は、加盟県人会からの労働奉仕で成り立っている。一方の県人会協議会は、日本の各地で起こった自然災害に対し、いち早く対応し県人会と連携し、豊富なネットワークを駆使して募金運動をはじめさまざまな被災地救済のための支援をリードするなど、両者の関係はまさに「運命共同体」である。
これまでの日本語による運営について「(協議会会員は)長年アメリカにいながらかたくなに日本語を守ってきた。というよりも(英語に)換えることができなかった」と指摘し「ごく近い将来に英語の時代がやって来るので心の準備を」と呼びかけた。英語運営へのスムーズな移行は「ソフトランディングが求められる」と、英語が不得手な先輩会員に敬意を払いながら「こういう課題を背負いながら解決しなければならない」と、意志を示した。
活動縮小を余儀なくされている県人会の衰退を直視して「日系の団体が協力し合って情報や意見を交換し、日系社会全体をどんどん元気にハッピー(水谷会長)にしよう」と、冗談っぽく呼びかけ、暗い話題から一気にムードを変えて締めくくった。
来賓を代表し、県人会協議会名誉会長の武藤顕総領事と、岩下寿盛・南加庭園業連盟会長、川田薫・南加日系商工会議所会頭が、それぞれ祝辞を贈った。3氏はともに、協議会が行う日系社会と米国国家、日米関係に対する多大な貢献を称賛。各行事での奉仕の労をねぎらい、新役員と協議会の前途を祝した。
2年目へ動き出した水谷会長。「人は多ければ多いほど、楽しくなる」と、県人会の増員にあらためて意欲を示した。出身地にこだわらず4府県が集まって活発に活動する関西クラブや、昨年で13回目を数えた9県合同のピクニックを成功例に挙げ「小さな県人会単独のピクニックだと参加者は20〜30人ほどしか集まらないが、昨年は9県合同で約170人が来てくれた」と胸を張った。「それぞれの県人会の活性化を手助けして、日系社会全体を盛り上げたい」と抱負を述べた。【永田潤、写真も】