今世界中に拡散されている歌がある。ユーチューブを通じて世界中900万人の人たちが聞いている。「Rinascero, rinascerai」(私は生まれ変わる あなたも生まれ変わる)。 新型ウイルス感染禍で一番多くの死者を出しているイタリア北部ベルガモ出身の作曲家兼歌手、ロビー・ファチネッチさんの歌声だ。
https://www.billboard.com/articles/news/international/9348718/roby-facchinetti-interview-rinascero-rinascerai-italy
映像には美しい街の朝明け、夕焼けが映し出され、そこで新型ウイルスと戦う医師や看護師や老若男女がほほ笑みながら大きめのカードを手にしている。「Rinascero, rinascerai」と書かれている。ファチネッチさんはこのふた言を何度も何度も繰り返しながら、こう続ける。
「すべてが終われば また空に星が輝く。 その星を見るために 私たちは戦う」「嵐が私たちを打ちのめし 屈服させようとしても わたしたちは絶対に壊れはしない」「宿命(さだめ)をはねのけるために 私たちは生まれてきたのだから。そしていつも打ち勝ってきたのだから」
イタリアでの死者数は1万5千人を超えた。パンデミックの中心、ベルガモ市では多い時は一日800人以上が死んでいる。市内の火葬場だけでは間に合わず、遺体の多くが近隣の町の火葬場に運ばれている。それでも映像ではベルガモの人たちは笑顔で私たちにメッセージを送っている。「私たちは頑張っている。あなたたちも頑張ってね」と。
日系コミュニティーからも犠牲者が出始めている。羅府在住のジャーナリスト、東繁春さんは新型ウイルス発生直後からネットで「ウイルス爆発感染レポート」を発信している。南加各郡発表の状況を和訳して1日2回「日本語族」に伝えている。東氏はテレビ・ウェブ会議(ZOOM)を使って情報交換の場も立ち上げている。
ネットを見ているロミータに住む歴史研究家の今森貞夫さんは「状況はよく分かる。でも今はどうしたら生き残れるか。どこへ行けば日本食が買えるか、教えてほしい」と身近な情報を欲しがっている。東さんにこの話をするや、読者参加の「日本食調査隊」を作って情報を提供することを決めた。
「すべてが終わり星が空に輝くのを見るまで」。ベルガモの人たちに負けないように、私たちも頑張りましょう。【高濱 賛】