今のところ、術後の経過は順調で、3年前に設立したジム「ポイント・オブ・インパクト・MMA」の運営にも復帰した。
格闘技の専門家として、一般向けの格闘技クラス開催ほか、エンターテイメント業界でも指導者として知られる濱村さん。「スタント業も行っているが、レスリングやボクシング、柔術などを教えることができるのが私の強み。ジムでは多様な種目を扱っており人気を博している」と語った。
現在、35歳の濱村さんは東京生まれ。日本で米国製ゴルフクラブを販売していた父親の仕事の関係で、3歳の時に米国に移住し、カリフォルニア州オレンジ郡で育った。幼い頃から活発でサッカーや空手の経験もあったが、16歳までは総合格闘技(MMA=Mixed Martial Arts)のトレーニングを受けたことがなかったそうだ。その頃からムエタイとブラジリアン柔術を始め、高校を卒業後、カリフォルニア州立大フラトン校に進学。その後、格闘技のトレーニングと大会スケジュール調整のためにレッドランズ大学に転校した。
大学を卒業し結婚したが、格闘技の仕事はあまり良い収入にはならなかったため、出資者を見つけることを決意。卒業してから2年ほどで賃貸物件を見つけ、2018年にジムをオープンした。ビジネスパートナーは、映画やテレビのスタントコーディネーターをしていた長年の知り合いだった。その後7年のトレーニングを経て、念願のエンターテイメント業界に進出した濱村さん。「多くの格闘技家が映画のパフォーマーになりたいと考えている。私にもその意思があることを、ビジネスパートナーに示したかった」と語っている。
濱村さんが初めて出演した映画は「バーズ・オブ・プレイ(Birds of Prey)」で、主演女優のマーゴット・ロビーと共に格闘するシーンだった。その後、テレビ番組「私立探偵マグナム(Magnum P.I.)」、ネットフリックス配給の「スイート・ガール(Sweet Girl)」、「デューン 砂の惑星(Dune)」、そしてライアン・ゴズリング主演の「ザ・グレイマン(The Gray Man)」など、多くのプロジェクトに参加している。格闘シーンやスタントに加えて、俳優のトレーニングも手掛け、これまでジェイソン・モモアやライアン・ゴズリングに、映画で必要な格闘シーンや動きなどを指導している。
格闘技の指導者として、またパフォーマーとしても成功している濱村さんの基盤は、自身が経営するジム「ポイント・オブ・インパクト・MMA」にあるという。現在、11人のスタッフが在籍しており、濱村さんが長期映画プロジェクトなどで不在中も、ジムの運営を任せることができるそうだ。
オレンジ市にあるジムには、成人・子ども向けの「ムエタイ」や「ブラジリアン柔術」をはじめ、「カーディオ・キックボクシング」、映画のスクリーン上での戦い方を教える「シネマ格闘トレーニングコース」があるほか、自閉症の子どもたちを対象にした「チャンピオンズクラブ」など、多彩なクラスを設けている。昨年は、新型コロナウイルス感染拡大により、数カ月にわたる休業を強いられたものの、期間中はジムの会員たちに、HIIT(高強度インターバルトレーニング)を提供するオンラインクラス「POI LIVE」を配信。現在、州の規制解除により営業が可能になったが、徹底した安全対策を行っている。
7月にはジム設立3周年を記念し、無料クラスなどさまざまな特典を用意。「カーディオ・キックボクシング」「POIMMAアンリミテッド」「キッズ・チーム・インパクト」の6カ月および12カ月のプログラムに申し込むと、1〜3カ月分の料金が無料になる。詳細はウェブサイト—
www.poimma.com/
または電話714・681・1760。
ジムの住所—
542 W Katella Ave, Orange, CA 92867