先週、駆け足で日本まで行ってきた。というのも亡くなった父の名を残したままの実家の名義についていよいよ変更手続きをすることにしたからである。父が亡くなってから私にとってはあっという間の12年だったが、世間的に見れば12年も放っておいたことになるかもしれない。でもこれには正当な言い訳があった。
 実家はそれまで父と私と弟の共同名義だったのだが、日本の相続登記は任意で、「固定資産税をきちんと納めておけば大丈夫」(当時相談した専門家)、「ウチもお義父さんの名前が入ったままで何十年ヨ」(いとこ)と聞き、早く米国に戻らねばならなかった私の事情もあり、「じゃあ当面はそのままでいいか」ということになったのである。
 ところが法律が変わり、来年4月から相続登記の義務化が始まるという。ケースバイケースのようだが、そのままにしておくと10万円以下の過料もかかるらしい。そこで「この機会に」ということになり、腰を上げたのは昨年秋だったが、必要書類をそろえるのが案外大変で、数カ月かかってしまった。
 中でも驚いたのは住民票の除票で、12年前の死亡者については死亡後たったの5年間しか保存されず、「交付できません」と区役所からはねつけられたことだ。しかもこの法令は令和元年に変わり、現在は保存期間が一気に150年になったという、その落差も驚きだ。それで代替えの方法を取らねばならず、日本の行政の年度末である3月ギリギリで何とか間に合った次第。4月にずれ込んで年度が変わるとまた一つ書類が取り直しになると脅かされた。
 ちなみに、「登記費用がかかる」とか「売るつもりがないから」といった理由で登記を変更しない人は結構いるらしい。ある資料によると所有者不明の土地面積は日本全体の2割に上り、再開発事業や災害復興などの妨げになっているそうだ。
 そんなこんなで慌ただしい旅だったが、この時期に行けてうれしいこともあった。滞在中に桜が例年より早く開花し、ソメイヨシノはまだまだだったが、1週間早く満開になったしだれ桜を東京・小石川後楽園で見ることができた。きれいだった。(長井智子)

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