日本では7月3日、20年ぶりという新紙幣発行があった。
1万円札といえば聖徳太子だった昭和の時代から、平成の福沢諭吉を経て、令和のこれからは日本資本主義の父とも称される渋沢栄一が万札の顔となる。ホログラムなどで偽造防止を強化しての新札発行とのこと。しかしちまたでは、新札発行にはそれ以外にタンス預金あぶり出しという目的があるとの噂が飛び交う。
タンス預金には思い当たる節がある。第一に日本では、銀行に入れても利子のほとんどつかない時期が長く続いてきた。次に、オレオレ詐欺などが増え、その防止策として銀行からの現金引き出しが容易ではなくなっている。ATMでの引き出し額制限だけでなく、窓口でも70歳以上となると一定金額以上は余分な手続きが必要となり面倒だ。他にも相続税回避意図など、理由はまだありそう。こんなことから、日本のタンス預金額は30~80兆円という。日本政府の観点からは、タンス預金は消費停滞の一因であり、犯罪資金の洗浄や税金逃れの温床にもなり得る。新札への切り替えでタンス預金が消費活動や投資に向かうことを狙っているらしい。
タンス預金ではないが、私にも多少の日本円がある。在米の子どもたちも皆そうだ。ドルに換金しようにも、この円安だ。旧札も新札同様の流通が保証されているので、当分の間は旧札を手元に置いたままだろう。しかし、かつてマレーシアに住んだことのある妹夫婦は、駐在中に手元に残った現金が数年後の再訪時に使えなかった苦い経験があると言い、今は手持ちの旧札をせっせと銀行に入金中。たしかに、新札発行はタンス預金を減少させる。
介護で日本滞在中の私たち夫婦にはこれまで手にする機会は無かったが、昨夜、友人が新札を披露し交換してくれた。手に取ってかざすと、ホログラムで肖像の向きが変わるほか、これまで大きく「壱万円」と記されていた位置には「10000」の数字。北里柴三郎の千円札は、これも「1000」が目立つようになっただけではなく、万円札より横幅が狭い。外国人にも分かりやすく、とり違いも少なくなるかと期待しつつ、財布に納めた。(楠瀬明子)
