
ロサンゼルス市議会は8月20日、ターミナルアイランドに唯一残る日本人ゆかりの建物を、「ふるさとツナ通り」として歴史文化記念物に指定することを、全会一致で決定した。対象となるのはかつて約3千人の日系人が暮らし「ふるさと」と呼ばれた漁村に残る、2棟の建物である。

漁業を基盤に発展したターミナルアイランドの日本人村は、戦前のロサンゼルス港において重要な役割を果たしていたが、1942年の「大統領令9066号」によって住民は強制立ち退きを命じられ、村は消滅した。今回の指定は、消え去ろうとする記憶を未来に残す大きな一歩となった。
提案者でターミナルアイランドを含む第15区を代表するティム・マコスカー市議は議場で「私はサンペドロ出身だ。強制収容の20数年後に生まれ、学校や職場などから突然姿を消した人々の話を父母や祖父母から聞きながら育った。当時の社会は、地域が一体となった美しい共同体だった。ターミナルアイランドからは陸地の学校に通う生徒たちが毎日フェリーで通学していた。私はその世代が受けた悲しみや衝撃を受け継いで育った」と振り返った。さらに「日系の友人たちから、ターミナルアイランドはかつて誇り高いコミュニティーであったこと、そしてそれが奪われた歴史を忘れてはならないと教えられてきた」と述べた。
同氏は投票に先立ち、長年にわたり保存運動を続けてきた「ターミナルアイランダー協会」に謝意を示した。また、現在ターミナルアイランドに移民関税執行局(ICE)の拠点があることに触れ、「痛ましい皮肉だ。米国の法に反して、毎日200人以上のICE職員がここから南カリフォルニア全域の強制摘発に出動している」と強調した。

マーキース・ハリス=ドーソン市議会議長は「まだ訪れたことのない議員は必ず現地に行ってほしい。ここはロサンゼルス市内でも最も心を動かされる場所の一つであり、歴史が消し去ろうとしても決して消えない出来事の痕跡が今も感じられる」と呼びかけ、全会一致の賛成決議を促した。
今回の歴史文化記念物指定は、関係者の粘り強い活動の成果となった。2月19日の「追憶の日」(日系米国人が第2次世界大戦中に強制収容された歴史を追悼・記憶する日)に合わせ、マコスカー市議は市の計画局に歴史文化記念物指定の申請を求める動議を提出した。6月5日に開かれた文化遺産委員会(CHC)では、曽根健孝・前在ロサンゼルス日本総領事も出席し、委員全員が賛成票を投じた。その後、8月12日に市議会の都市計画・土地利用管理委員会(PLUM)に送られ、最終的に今回、指定が実現した。この過程に大きく寄与した、ターミナルアイランダー協会は、テリー・ハラ会長と保存活動委員会のポール・ヒロシ・ボエア氏を中心に、ロサンゼルス保存協会や全米歴史保存信託、アジア・太平洋島しょ国系米国人歴史保存のAPIAHiP、全米日系人博物館などと協力。さらに教育関係者や地域住民を巻き込みながら、この漁村がかつて果たした役割とそこに暮らした日系人の歴史を広く伝える活動を展開してきた。
現在、同協会はロサンゼルス港湾局の幹部と協議を重ね、残された建物の修復と活用方法について意見を交換している。(ティム・ユウジ・ヤマモト)

