高齢者の健康管理を推進する「Senior Wellness on YouTube」が、「日本人の健康法に学ぼう」と呼びかけている。具体的には散歩、ラジオ体操など6項目を挙げている。今や一過性的現象ではなく、米市民生活パターンの一部に定着している「日本流」は、文字通り、米国人の「衣食住」に入り込んでしまった感すらする。「衣食住」の「住」には生活環境、健康管理も含む。散歩はジョギングではなく、呼吸を整え、黙想しながら歩くことだ、と諭す。ラジオ体操は、日本人なら誰でも知っているNHKラジオ体操のことだ。
実は、ラジオ体操は米国生まれなのだ。
メトロポリタン生命保険(現Met Life)が1925年考案した音楽に合わせて体操の動作を解説する形式は「メトロポリタン生命健康体操」と名付けられた。建前は、国民の健康増進と長寿促進だったが、実は被保険者が健康であれば、それだけ保険金を払わずに済むという商魂から編み出されたようだ。
10年続いたが、当時、ラジオが現在ほど普及していなかったことや大恐慌時代で人々は健康増進よりもより切迫した経済的懸念に頭がいっぱいだったことから、35年に中止してしまった。
米社会の「日本流」化現象と言えば、羅府新報の論説記者だった鷲津尺魔氏は、30年に著した「在米日本人史観」でこう書いている。
「(一世とは)別個の軌道を走り、日常生活の旋風的感化を受けつつある二世が日本語を学ぶのは、日本の伝統、慣習を学ぶためだけではなく、今後、(二世=日系米国人が)世界的に活躍するうえで極めて重要な教育だ」
太平洋戦争という濁流の中で同氏の「至言」は葬り去られてしまった。が、ラジオ体操ひとつとってみても、80年後、米国は「日本流」をさりげなく取り入れている。
どうやら新一世諸兄姉には日系Z世代に教えるべきことが山ほどあるようだ。(高濱 賛)
