熱唱と熱吟で会場を沸かせた小芝陽子
紙吹雪をまき扇子で扇ぐ小芝の演出

 南加県人会協議会の第43回親睦演芸会の第2部はゲスト歌手の小芝陽子が演歌と、自身の原点という詩吟を披露した。9歳から詩吟を始め、中学生で日本武道館で詩舞を演じ、文部科学大臣奨励賞を受賞した実力を誇る小芝は、豊かな声量と抜群の歌唱力で観客を引きつけた。会場を練り歩き観客と握手したり一緒に写真に写ったりしながら、触れ合いを楽しんだ。

 今回の米公演のテーマ「命(の尊さ)」と「母(への感謝)」に合わせ選曲し、持ち歌の「サムライ美学」「ねんねこ祭り」「つながり」など6曲を歌唱した。演歌、浪曲、詩吟を熱唱し、故郷に思いをはせる観客の心をとらえた。

 世界各地で戦火が絶えない今、小芝は「平和という言葉が風化しつつある」と危惧する。世界平和を祈りつつ、シベリア抑留からの日本兵を乗せた引き揚げ船を待つ母親を歌った「岸壁の母」では、曲の初めと合間の浪曲で息子の帰りを待つ母の心情を、感情を込めて表現。客席では、心を打たれ涙を流す女性の姿が多く見られた。

感情を込めて歌う小芝

 和歌山県無形文化財の祭りの唄「ねんねこ祭り」では、子育てが困難で少子化が進む日本の現状を憂いつつ、母親が子どもに優しく語りかけるように歌い上げ、多くの子どもが健やかに成長する未来を願った。

 三波春夫が歌った名作歌謡浪曲「俵星玄蕃」では、歌謡曲、せりふ、浪曲の節回しを巧みに織り交ぜながら、抑揚豊かに会場の隅々まで声を響かせて観客を圧倒した。司会のタック西さんは「このアラタニ劇場で『俵星玄蕃』が歌われたのは、三波春夫本人以来。素晴らしかった」と述べ、難曲を見事に歌いこなした小芝を称賛した。

 「つながり」では「先祖から『つながる』命を大切にしてほしい」と訴えた。アンコールでは再び舞台に姿を表し、「お母さん、ありがとうございます」と気持ちを込めて語り、全世界の母親にささげる和歌「十億の母」を声高らかに吟じて公演を締めくくった。

小芝は衣装替えで赤い着物を身にまとい舞台に再び表れた

 小芝はこの日、奨学金を受賞した若者を目にして、「日本語が分からない人も日本文化を学んでいてうれしく思う」と語った。日本では伝統文化への関心が薄くなり後継者不足が深刻であることを憂慮し、「こちらの方が日本文化を大切にしていると感じる。日本人がこちらの人を見習わなければならない」と述べた。県人会協議会が行うさまざまな活動について「各県人会が力を合わせて大きなことを成功させ社会貢献を果たしている。日本の自然災害の復興支援も行い素晴らしい」とたたえた。

 小芝は滞在中、カラオケ同好会に招かれて演歌ファンとカラオケを楽しんだり、今年2月に次いでボイルハイツのさくらガーデンズを慰問し公演を行ったりと、交流を深めた。初の米公演を振り返り、「日本文化を愛するロサンゼルスの日系社会で歌えたことが大きい。皆さんに優しくされて、こんなにありがたいことはない。今後の活動の励みになった」と笑顔で語った。

舞台を降り会場を練り歩き観客と握手する小芝
公演後、ファンと写真に納まる小芝

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