
パサデナ恒例の新年ローズパレード出演に向けて渡米した大阪・箕面(みのお)の箕面自由学園高校の生徒たちは、空模様とは対照的に笑顔で本番への期待を膨らませていた。本番を2日後に控えた2025年12月30日、事前イベント「バンドフェスト」に出演し、パレード本番に向けた演奏を披露した。「バンドフェスト」は、北米最大規模を誇る「トーナメント・オブ・ローズ・パレード」に参加する団体を紹介する恒例行事であり、同校もその一員として舞台に立った。

日本屈指の名門バンドとして知られる箕面自由学園のマーチングバンド(吹奏楽部)「ゴールデン・ベアーズ」は、メンバーとチアリーダー合わせて200人超で構成される。エネルギッシュで一糸乱れぬ演奏と、全国大会で40回以上の優勝を誇るチアリーディングチームの演技で高い評価を受けている。この日も、宙返りや三段ピラミッドなどの大技が決まるたび、観客席からは驚きの声が上がった。
宙高く舞い上がる演技を披露した1人が、17歳の田中利奈さんである。身長約140センチ、体重約32キロと小柄ながら、「練習はとても大変だが、怖いと思ったことは一度もない」と笑顔で語った。

指揮を務めた福里大輔さんにとって、今回が初めてのパサデナ訪問である。「とにかく楽しい」と話し、天候についても意に介する様子はなかった。米国気象局は大みそかの夜から元日にかけて大雨を予想していたが、それでも福里さんは「やります。大丈夫です」と笑顔を見せた。「楽器にはカバーがあり、日本でも雨の中で行進した経験は3〜4回ある」と、自信をのぞかせた。
サクソフォン奏者の池上陽菜さんは、「世界で最も権威ある舞台の一つで演奏できることは素晴らしい」と語る一方、今回の旅で最も印象に残っているのは食事だという。「『In–N–Out Burger』! めちゃおいしい」と声を上げると、周囲の団員たちも口々に賛同した。

今回の渡米にあたり、バンドと支援スタッフは1年をかけて数千万円規模の資金を集めた。団員1人当たりの負担額は約2500ドル以上とされる。参加は、日本の非営利団体「日米グリーン協会」のコーディネートによるもので、同団体は06年以降、ローズパレードを含む海外公演を数多く支援してきた。
同団体は来米のたびに地元の公演施設でチャリティーコンサートを開催し、寄付金を自然災害などの被災者支援に充てている。これまで山火事、竜巻、ハリケーンなどの被災者に、総額で数千ドルを寄付してきた。今年はローズパレード参加後の2日、ラ・パルマのジョン・F・ケネディ高校でチャリティーコンサートを開催。観客の記憶に残る演奏となり、生徒たちにとっても欠かせない体験の一つとなった。さらに、昨年ロサンゼルスで発生したイートン火災およびパリセーズ火災の復興支援として7千ドルを寄付することも表明した。

福里さんは、米国の観客が示す反応の大きさがバンドの高揚感をさらに高めていると語る。「ここでは愛情や応援を全身で表現してくれる。日本よりも、そして世界のどこよりもその熱量が大きい」
(マイキー・ヒラノ・カルロス、写真も)

