日米文化会館1階のティールームで実施されている在外投票。左側でスタッフの説明を受け、右側の机で投票用紙に記入する

 20日から世界各地で始まった衆院選の在外投票は、ロサンゼルスでは小東京の日米文化会館で24日まで実施される。連日、朝から続々と有権者が訪れ、母国の未来に期待を込め、清き一票を投じている。
 トーレンスに住む在米35年の西山収さんは、1回目の在外選挙から欠かさず、権利を行使している。日本の政治に期待することは「外交と防衛」と言い、「今回(の衆院選)は国政選挙なのに、候補者は国内の景気や地元の発展を公約に掲げているのが目立つ。条約交渉や国防など地方自治体ができないことをするのが代議士の役目のはず」と主張した。
 外交と防衛の両面に関する日中関係について「あれほどの脅威に日本人は、ぽけーとしている」と、危機感の無さにあきれる。中国の台湾への圧力を一例に挙げ、「沖縄の石垣島は台湾から百数十キロしか離れておらず、戦闘機の撃ち合いになれば日本の領空が侵犯される。対岸の火事では済まされず、火の粉が飛んでくる」と言い、有事に備えるべきとの意見を述べた。中国への対応として、「人権問題などを突いて、非難決議を出す対抗措置をとり、毅然とした態度をとって日本の立場を伝えなければならない」と力を込めた。

バインダーを広げ、小選挙区の候補者を探す西山さん(左奥)とキャスタイック在住の松本三郎さん

 日米関係については、「外交の基軸」と強調する一方で、日本の防衛は現状では日米同盟が軸のため「自主で防衛力を強めることは望めない」と語り、「予算をつぎ込んで、守らないと危ない。自衛隊が動けるように、憲法を改正する必要があるのにまったく議論していない。日本国民は目を覚まさないとまずい」と案じた。
 岸田政権の外交に関しては期待を寄せるものの、外務大臣時代に韓国と交わした慰安婦問題の解決合意に異を唱える。首相に就任して靖国参拝を見送ったことに「あれは内政の問題。はっきりと日本の意見を述べて行動してほしい」と願った。
 西山さんは、ロサンゼルスから始まった在外選挙の運動をサポートした。「海外に出ると投票できないことは、日本人でないような感じがしたから」と言い、署名集めに尽力した。比例代表制に加え、選挙区在外選挙を求めて国を訴え権利を勝ち取った原告団の活動をたたえ、「最高裁で勝訴の判決が下ったときは『やっと投票できる』とうれしかった」と当時を振り返った。「一票だが、自分の思いを込めて投票しなければならない。棄権すると絶対に日本は変わらない。一票の重さは海外にいるとよく分かる」と力を込めた。
 ローランドハイツから訪れた高橋ケイさんは滞米50年になり、議論をぶつけ合う二大政党の利点を知っており、「日本は一つの党を勝たせないと政治は動かない」を持論に、今回の衆院選も政権交代を望んでおらず「(与党を維持する過半数の)233議席を確保したい。国を良くすることを考えず、揚げ足ばかりとって攻撃している」と、野党を批判する。
 日本の政治に願うことは「全労働者の給料を上げて、国防をしっかりしてほしい」。日米安保条約は頼りにならないとし「自分の国は自分で守らなければならない。アメリカは面倒見てくれない。日本は戦後の平和ボケがずっと続いている」と指摘する。北朝鮮のミサイル発射や中国との尖閣諸島、韓国との竹島、ロシアとの北方4島の領土問題を挙げ、「迎撃ミサイル、空母、戦闘機を全て自国で開発し、サイバー攻撃にも備えて国を守ってほしい」と訴えた。
 高橋さんは2013年から毎回、投票しており「投票しないと、日本の国政を批判する権利はないと思っている。アメリカに住んでいても日本の国民なので日本のことを思って投票すべき」と、在外選挙の意義を説き投票を呼び掛けた。
 衆院選は、31日に投開票が行われる。在外投票は24日までで、日米文化会館での受け付けは午前9時半から午後5時まで。投票には、在外選挙人証とパスポートなどの公的機関発行の顔写真付き身分証明書(有効期限内のもの)の提示が必要。【永田潤、写真も】

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です