ゴジラ70周年記念作として日本で11月3日に公開され、大ヒット記録中の「ゴジラ—1・0(マイナスワン)」がいよいよ米国に上陸した。全米公開日当日、監督の山崎貴にインタビューした。山崎は特殊視覚効果の分野で映画業界入りしただけに、本作の特殊視覚効果は、大迫力のショットの連続だった。(はせがわいずみ)
Q 特殊視覚効果の分野でキャリアを積んできたからこそ実現できた自慢のシーンを教えてください。また、逆に断念したシーンはありますか?

(Photo by Stewart Cook / Getty Images for Toho Co.)
山崎 日本は特殊視覚効果の予算も人数も少ないので、とても大変です。ただ、今回は現場ですぐに確認して調整できる体制にしたので、それはものすごく少ない予算の中で仕上げるのに効果的なシステムだったと思います。自慢のというか、思ったレベルでやり切れたたシーンは海のショットですね。海の表現は非常に難しいのですが、今回の仕上がりにとても満足しています。あれだけの少人数でできるとは思えない期間で、とても良い海のシーンを実現できたことを誇りに思っています。特殊視覚効果のチームは15人くらいだったんですよ。銀座が破壊されるシーンの担当者は1人でした。もちろん、設営には何人か関わりましたが、特殊視覚効果の映像担当は1人。本当によくやってくれました。今回、やりたいことをほぼ全部入れることができたので、断念した場面というのはないですね。みんなで一丸となって、最初に僕が思い描いていたビジョンにかなり近いものを成し遂げられて、とてもうれしいです。スタッフの成長ぶりも素晴らしかったです。強いて言えば、ゴジラに殺される人たちの描写をもっと生々しくやりたかったというのはありますが、観客はそういうのを求めてないだろうし、ファミリーで見てもらいたかったので、残酷な描写は控えました。ゴジラの映画ではなくなると思ったので、ブレーキをかけました。
Q 本作では、歴史的背景や人間ドラマが細かく描かれていると思いました。最もこだわった点を教えてください。
山崎 ゴジラをどんなに一生懸命表現しても、登場人物のゴジラに対するリアクションが嘘(うそ)になってしまうと、怖さが出てこないと思うんです。撮影時にゴジラはまだできていなかったので、想像しながら演技してもらいました。監督として(そのシーンのゴジラがどんな風なのかという)情報を伝えるのはとても難しかったんですが、まだ見ぬゴジラに対しての恐怖を皆さんが的確に表現してくださりました。完成した映画を見た人が「今回のゴジラは怖かった」と言ってくださったんですが、それはもちろんゴジラの造形もですが、やはり一番の貢献は役者のリアクションだと思います。とても的確に表現してくださったのでゴジラがちゃんと怖く見えるし、本物に見える。ゴジラが存在しているように見えたと思うんです。現場でもいろいろ調整しながら、そこをとても大事に作りました。演出の話というより、全体の話になるかもしれないですが、怪獣映画は、人間の物語と怪獣の物語が分離しがちなんです。怪獣がものすごく巨大なために、人間とスケールが合わないから、どうしてもその二つが分離しがちです。それを一つの物語として混ぜ合わせることに力を注ぎました。脚本を作っている時も、現場での撮影でも、また、特殊視覚効果や最終的に仕上げる段階でも、一貫して人間の物語と怪獣の物語を一つにしたいっていうのをすごく意識しました。
Q 続編を製作されるとしたら登場させたい怪獣はありますか? または、オリジナルの怪獣を登場させるという考えはありますか?
山崎 続編の可能性が全くないんだとしたら、好きなこと言えるんですが、多少可能性があるので、不用意な発言ができない状態です。ゴジラをデジタルでリニューアルしたので、そういった意味で既存の怪獣をリニューアルしてみたいという考えはあります。新しい怪獣を作るのではなく、今まで出てきた怪獣を今のテクノロジーでバージョンアップしたものを見せたい。今はそういう気持ちです。
Q 続編のお話はあまりできないということですが、続編を作るとしたら、登場人物は同じになりそうですか? それともまったく別のキャラクターで構成されますか?
山崎 ある程度キャラクターは継続したいと思っています。続編をするとしたら、全く新しい話が発生するというよりは、あの人たちがさらに何か困難なものに直面してしまうというような物語を描きたいと思っています。本作はハッピーエンドではありますけど、完璧なハッピーエンドではない。 最後に首筋のところに怪しいものが出たりしていますからね。敷島たちの困難はまだ終わっておらず、またもや大変なことに向かっていくんじゃないかなと今は思っています。ただ、現段階では、どうなるか分からないですね。
Q 山崎さんにとって映画とはなんですか?
山崎 怒られるかもしれないけど、僕の中で映画は「文化祭」なんです。みんなで一生懸命、「あーだ、こーだ」と言いながら作って、出来上がったものを封切る。それは、みんなで一生懸命作って、文化祭の日に見てもらって、いろいろ言われるっていうのと同じなんです。いまだに高校の文化祭をやっているような気持ちでずっとやってきています。だから、映画はそういう楽しいもの。映画を作るというのは非常に楽しい時間と言えます。
